愛人の子にも相続させてあげたいのですが,どうすればいいですか?
1 実子であれば認知の手続き
夫婦の間の子であれば,妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定されます(民法772条2項)が,そうでない場合には,たとえ実親子であっても,法律上は,父子間に当然に親子関係があると扱われません。
したがって,愛人の子が自分との間の子である場合には,まず認知の手続きをとっておく必要があります(民法779条)。
認知の手続きをとることで,当該子どもは,法律上も本人の子どもとしての身分を取得することになり,本人の相続の際には法定相続人(民法887条1項)となります。
当該子どもは非嫡出子となり,以前は非嫡出子の法定相続分は嫡出子の2分の1となっておりましたが,民法の改正により,現在の非嫡出子の法定相続分は嫡出子と同等となっています。
2 父親からの認知の方法
父親から子どもを認知する方法としては,任意認知があります。
これは,父親または子どもの本籍地のある市町村に認知届を提出するという方法によって認知をするというものです(民法781条1項)。
また,認知は,遺言によってもすることができますので,この場合には遺言書で当該子どもを認知する旨の条項を作成する必要があります(民法781条2項)。
3 実子ではない場合には,遺言書の作成
愛人との子が実子ではない場合には,当該子どもは相続人ではありませんので,当該子どもに財産を相続させるためには,財産を遺贈する旨の遺言書を作成する必要があります。
愛人への遺贈であれば,遺言が不倫関係を維持係属させるためになされたものではなく,もっぱら生計を頼っていた女性の生活を保全するためであり,内容が相続人の生活の基盤を脅かすものでなければ,公序良俗違反による無効とはならないと判断されています。
愛人の子への遺贈の有効性についても,上記の事情を参考にしながら判断がされますので,この点に配慮した内容の遺言書を作成する必要があります。
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